固定金利か変動金利、どっちが良い?

住宅ローンの金利方式を選ぶのって困りますよね。だって答えがないから。どれを選んで良いか悪いかなんて、後になってからしかわかりません。 基本的な考え方としては、今後市場の金利水準が下がっていく、もしくは今と同じ水準で推移するなら変動金利や3年固定などの短期の固定金利選択型を選んだ方が良いですし、市場金利が上昇するなら長期固定金利や、10年固定などの長期の固定金利選択型を選んだ方が良いという事です。

 

今は市場金利は最低水準にありますので、これ以上下がる事は考えにくいですが、今と同じ水準でずっといくのか、それとも金利が上がっていくのかなんて誰にもわかりません。それについては過去の記事にも書いたとおりです。

 

さて、2011年7月22日の日経新聞の一面に興味深い記事が載っていました。住宅ローン低金利競争という見出しの記事なんですが、要約しますと、

 

「今住宅ローンの金利競争が激化している。借換や新規需要獲得のため、地銀や信託銀行を中心に金利優遇幅を拡大している事が原因。一部地銀の中には変動金利型で過去最低水準となる年利0.70%程度の超低金利を提示するところまで現れた。住宅ローンで攻勢をかけているのは信託銀行で、三井トラストホールディングスや住信SBIネット銀行。SBIネット銀行は店頭に行かなくても良い事もあり、2011年6月末の住宅ローン融資残高は前年同月比で6割増加した。逆に3メガ銀行の2011年4月〜6月の新規融資額は28%減っていて、相対的に金利面での魅力が乏しくなっている。」 という事です。

 

この記事中で私の興味を引いたのは、現在新規融資の5割程度は変動金利型だという事でした。興味を引いたというか、少しびっくりしました。確かに金利が安いのは魅力ですが、それにしても5割とは・・・。みなさん、金利上昇は当面ないという判断なのでしょう。

 

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方や、こんなニュースもあります。バフェット氏が固定金利債発行にシフト−長期的に金利上昇との認識か2011年1月4日、ブルームバーグの記事ですが、アメリカの著名な投資家で、ビルゲイツよりも個人資産が多いウォーレンバフェット氏が、自ら代表を務める投資、保険会社バークシャーハサウェイの変動利付き債の借り換えで社債15億ドル(約1230億円)を発行し、新発債の大半が固定金利債だったという事です。 つまり自社の借金をわざわざ固定金利型に借り換えたんですね。

 

バフェット氏は世界で最も有名な投資家ですし、このことは長期的に金利が上昇するとバフェット氏が考えていることを示すものかもしれないと市場から注目されました。 バフェット氏の意図はわかりませんが、もし景気が良くなって金利が上昇しても、政府の財政悪化から国債価格が下落し金利が上昇しても、どちらにせよ固定金利の方が有利だと考えているんじゃないかと思います。

 

もちろん、アメリカの事情がそっくりそのまま日本にあてはまるわけではないですが、日本も財政赤字の悪化が続くとやがて限界がやってきます。アメリカは金融市場を救うため、ドルを刷り散らかしています(その為円高ドル安、金価格の急上昇を招いています。)が、日本はまだそれをやっていないですし、日本は経常黒字国なので、短期的には長期金利が急上昇する事は考えにくいです。(【2014年9月15日加筆】現在、アメリカは金融緩和の出口戦略に向かっています。日本は2013年4月から日銀による異次元緩和を実施しています。日本はこれまで経常黒字国でしたが、貿易赤字が続いており、所得収支でかろうじて経常黒字となっていますが、間もなく経常赤字国に転落すると思います。経常赤字国になった時、国債の価格、長期金利がどうなるかが問題です。)

 

でも、この先5年後10年後にはどうなっているかわかりません。ひょっとしたら国債価格の下落、金利上昇もあるかもしれません。単純に今金利が安いからと言って、変動金利を選ぶわけにもいかないんじゃないかと思います。今は最も金利水準が低いので、長期固定金利の金利水準もかなり低いです。じっくり検討してみましょう。

 

 

 

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