市街化区域とは何か?市街化区域とは何が違うのか?

市街化調整区域をわかりやすく言いますと、お役所が設定した都市計画区域内において「家を建てたりして市街地にする事を、お役所が原則禁止している地域」という事です。

 

逆に、市街化区域とは、お役所が設定した都市計画区域内において「市街化をお役所が認めている地域」という事です。

 

「調整」とは、いかにもお役所的な言い回しですが、実際には「原則禁止」しています。

 

市街化調整区域と市街化区域は明確にわかれていますが、何を見ればわかるかと言いますと、市区町村が出している都市計画図です。

 

役所の都市計画課に行けば、都市計画図を買う事ができますし、「〇〇〇市 都市計画図」と打ち込めばインターネットで閲覧する事ができる自治体もあります。

 

例です⇒長野市の都市計画図

 

上の地図を見ればわかると思いますが、地図で白いところは市街化調整区域です。

 

市街化区域と市街化調整区域の間は、きっちり線が引かれていますよね。

 

これを「線引き」と言います。

 

線引きとは、市街化区域と市街化調整区域をはっきり分けますよ、という事なのですが、線引きそのものがされていない区域もあります。それが非線引き区域です。非線引き区域以前は未線引き区域と呼ばれていました。

 

何故、未線引き区域から非線引き区域に呼び方が変わったかというと、以前は都市計画区域内は必ず線引きをしなければならないと法律で定められていたので、まだ線引きがされていないという意味で未線引きと呼ばれていたものが、今では線引きするかしないかは自治体の裁量にまかせますよ、という事になったので非線引きと呼ばれる事になったのです。

 

最初に、「お役所が設定した都市計画区域において」と言いましたが、市や区単位で全域が都市計画区域になっている場合や、市の一部分を都市計画区域に設定している場合があります。

 

市全域が非線引き区域の場合もあります。

 

 

市街化区域や非線引き区域の場合、用途地域で建築が禁止されていない建物だったら誰でも建築はOKです。農地転用許可が下りれば一般個人の方でも農地を買って、農地を埋め立てて家を建て、地目を宅地に変更するのもOKです。

 

市街化調整区域の場合はお役所が市街化を抑制している地域なので、原則建築はできません。農機具小屋などの許可が不要な建物以外は、建築には都市計画法上の許可が必要です。

 

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何故、市街化調整区域の建築は認められないのか?

市街化調整区域は、原則としてお役所が市街化を認めない、つまりは建築は認められないと言いました。

 

何故かと言いますと、お役所からしてみれば、出来るだけ市街地と農地は分けて街づくりしたいと思うのは当然です。

 

考えてみてください。市街地に農地が点在していたら排気ガスが農作物に付着するでしょうし、トラクターや田植え機に道路を走られたり、道路に停められたリすると、おそらくは交通渋滞になります。効率が悪い街づくりは避けたいと思うのは当たり前の事でしょう。

 

ですから、市街化したい区域と、市街化したくない区域とを分けているのです。

 

お役所が市街化したくないと線を引いた区域が市街化調整区域なので、原則として建築は認めませんよ、という事になっているわけです。

 

田畑をつぶして家や店舗ばかりを建築していたら、農地が減って、食物自給率が下がってしまうからというお国の事情もあります。日本の食物自給率は平成29年度は38%(カロリーベース)だそうです。スーパーへ行っても輸入品ばかりですものね。

 

農地を潰して大きなショッピングセンターが出来れば便利にはなるけれど、あんまりそんな事ばかりやっていたら、将来お米が食べられなくなるかもしれません。なので一定の農地は残す必要があります。

 

特に、お役所が、将来的にも農地として確保したい地域を「農業振興地域」、俗に農振(のうしん)と言いますが、市街化調整区域だと建築は厳しいのに、農業振興地域になっていると更に建築は更に厳しくなります。

 

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市街化調整区域に家が建っているのは何故か?

市街化調整区域は、お役所が家や工場や店舗を建てるのを原則禁止していると申し上げました。

 

じゃあ、何で市街化調整区域内に家が建っているの?

 

という疑問が生じると思います。

 

市街化調整区域でも建築が許可されるものがあります。自治体によって対応が異なりますが、以下は浜松市の例です。

 

都市計画法の許可がいらないもの
  • 農家資格者が建てる農業施設
  • 集落内居住者の生活に供するごく小規模な店舗

 

都市計画法の許可を受けて建てられるもの
  • 日用品店舗(飲食店、コンビニ、薬局、診療所など)
  • 自動車修理工場(道路運送車両法に基づく認証工場)
  • ドライブイン
  • ガソリンスタンド
  • 線引き前宅地(かつ現在地目が宅地)における建築物(第2種低層住居専用地域に建てられる用途のもの)
  • 分家住宅
  • 大規模既存集落の自己用住宅
  • 市街地縁辺集落の専用住宅、併用住宅(事務所、店舗併用のみ)、共同住宅
  • 自治会施設(会館、屋台小屋、防災倉庫など)
  • 公共事業により移転する建物(土地収用法の対象事業によるもの)
  • 既得権による自己用建築物

出典:浜松市ホームページ 
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/tochi
/home_tochi/home/kensido/chousei/taterare
rumono.html

 

農家が建てる農機具小屋なんかは調整区域であっても都市計画法上の許可( 都市計画法第43条第1項の規定による建築の許可)がなくても建てられます。感覚的にわかりますよね。

 

許可を受ければ建てられるものは、どうしても地域に必要とされるものです。例えばその地域に必要なお医者さんが建てる診療所とか、生活に必要な商店とか、飲食店、公民館などの集会所などです。

 

また、農家の分家が建てる住宅も許可を受ければ建てる事ができます。ここで言う農家とは、農業の権利を有する者(例えば農地の所有者)の事ですが、市街化調整区域と住宅ローンについてを説明する上ではキーワードとなります。

 

また、線引き前宅地(かつ現在地目が宅地)における建築物(第2種低層住居専用地域に建てられる用途のもの)の事を旧既存宅地とか、便宜上既存宅とかと言われますが、これも大きなポイントです。

 

ちょっと長くなりましたので旧既存宅地については別記事にしたいと思います。

 

外部リンクですが、こちらの記事もご覧ください。すごくわかりやすいです⇒市街化調整区域での用途変更が認められやすくなる? 国土交通省が指針を改正

 

 

 

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