旧既存宅地とは何か?

前回の記事で、市街化調整区域に建築できるものの中に、

 

線引き前宅地(かつ現在地目が宅地)というものがありました。線引き前とは、市街化区域と市街化調整区域の線引きが行われた日(昭和45年11月23日前後で自治体によって異なります。)の前から登記上の地目が宅地であったものを言います。

 

かつてはそれを既存宅地と呼んでいました。(既存宅地制度消滅後は、俗に旧既存宅地と呼ばれています。)

 

昭和45年11月に、お役所が勝手に、「今日からこの地域は市街化調整区域になったので、今後家を建てたらだめですよ。」とやったわけですが、線引きされて市街化調整区域となった以前から実際そこに家を建てて住んでいる人もいたわけで、そういう人にとったらそれは困るという話になるわけです。「家が古くなったらどうするんだ?建て替えもできないのか?」という事になります。

 

なので、自治体によって線引きが行われた日より前に、登記上の地目が宅地であったものについては、既得権を認めますよ、というのが既存宅地の制度でした。建物建築の際に、既存宅地であれば、都市計画法上の許可( 都市計画法第43条第1項の規定による建築の許可)は不要という特例があったのです(建築確認申請は必要)。どうやってそれを確認するかと言うと、土地の登記簿謄本を見て、自治体が線引きした日より前に宅地になっているか否かを見ます。自治体が線引きした日より前に宅地であれば旧既存宅地です。

 

既存宅地において都市計画法上の許可( 都市計画法第43条第1項の規定による建築の許可)は不要だった、という事は、基本的には、誰が何を建てても良かったのです。つまりは市街化区域と同様の扱いでした。

 

その後、平成13年5月18日に都市計画法が改正・施行された事により、既存宅地の制度は消滅しましたので、特例は認められなくなりました。つまりは建築の際に都市計画法上の許可( 都市計画法第43条第1項の規定による建築の許可)が必要となったのです。

 

しかし、既存宅地がなくなったとはいえ、線引き後に宅地になった土地(いわゆる新宅地)と、全く同等の扱いにしたら弊害が大きすぎます。既存宅制度消滅以降は、自治体によっては既存宅制度に類似する規定を作って運用をしているのが実情です。既存宅地の制度そのものは消滅しましたが、お役所が都市計画法上の許可申請の審査において、かつての既存宅地であったかどうかを考慮しますよ、という事です。

 

私が銀行に勤めていた時も、そこの自治体では旧既存宅地であれば、一般のサラリーマンの方が購入しても都市計画法上の許可( 都市計画法第43条第1項の規定による建築の許可)は下りていました。しかし今は良くても、将来にわたって100%許可が得られると保証されている土地ではない事は認識しておくべきでしょう。既存宅制度がなくなった事で、自治体が独自で救済措置を講じているだけの事なので、それが今後も続くかどうかはわからないからです。

 

自治体によっても対応の差があると思われます。旧既存宅地を購入する場合、お役所の開発許可を出している部署で、該当の土地が建築出来る人の制限があるかどうかを聞いてみてください。「今度調整区域内の、過去に既存宅であった物件を買おうと思うのですが、家を建てるにあたっては誰の名義で建てても問題ないですか?」とか聞いてみると良いです。不動産屋に聞くのも良いでしょうが、新宅を平気で売り出しているところもあって、今まで何度もトラブルになっているのを見てきましたので、自分で役所に問い合わせてみる事が一番だと思います。

 

私が過去にあったトラブルについては次の記事にしてみたいと思います。

 

 

 

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